TeX 日本語版を使う

私はずぼらなので、面倒な作業をせずに日本語処理が可能な TeX を使いたい。 可能な限り面倒な作業をせずに。

当然、この価値基準に従えば Linux などの環境が一番楽になります。 が、それだと Windows で困る。

そこで世の中を調べてみた所、 どうやら cygwin を使ってこのような環境を作る方法もあるらしい。

ここではそれらのやり方について調べた結果をまとめます。

$Date: 2011-05-25 01:25:09 +0900 (Wed, 25 May 2011) $

Fedora Core1の場合

Fedora Core1 をインストールすると、 そこで標準的に存在する tetex の環境は、 EUCを処理できる tetex です。 しかも、古い TeX と違い core をダンプして…という事をしていません。 \documentstyle 命令と \documentclass 命令で LaTeX 2.07と LaTeX 2e の区別を行っています。

この段階で latexコマンドは使えます。 生成された dvi ファイルは pxdvi コマンドを用いると参照できます。


dvi から pdf をいきなり作ることができるらしい。

http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/fc/dvipdfmx.html から http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/fc/dvipdfmx-20040411-0.nosrc.rpm をダウンロードします。 もしかしたらもっと新しい版に対応しているかもしれません。 その場合はその新しい方を利用してください。

で、こいつを
rpm -i dvipdfmx-20031207-0.nosrc.rpm
でインストール。

/usr/src/redhat/SPECS/dvipdfmx.spec
Source0:項目に書いてあるように、 http://project.ktug.or.kr/dvipdfmx/snapshot/current/dvipdfmx-20031207.tar.gz をダウンロード、/usr/src/redhat/SOURCESディレクトリに保存します。

/usr/src/redhat/SPECSディレクトリにて、root 権限で
# rpmbuild --target i686 -ba dvipdfmx.spec
を実行します。ごちゃごちゃとメッセージが出てきて、
/usr/src/redhat/RPMS/i686/dvipdfmx-200312-0.i686.rpm
ファイルが完成します。

この/usr/src/redhat/RPMS/i686/dvipdfmx-200312-0.i686.rpm
# rpm -i /usr/src/redhat/RPMS/i686/dvipdfmx-200312-0.i686.rpm
としてインストールすれば出来上がりです。


すでに出たように、このコンビネーションは EUC しか処理できない。 他の文字コードでファイルを作ってしまった場合は nkficonvを使って変換してから latex に通してください。 Makefileにフィルタリングごと埋めておくと丁度よいでしょう。

Windows/Cygwin の場合

楽をするためにWindows XPを前提とします。 多分Windows 2000でも同じ手が使えるはずです。

まず、Cygwinを全部インストールします。

http://www.cygwin.com/ にある setup.exeを ダウンロード、 適当な場所に保存します。とりあえず
\work\cygwin\setup.exe
という場所に保存する事にしましょう。以下ではこの前提で行いきます。

次に Administrator になります。 で、Administrator権限で \work\cygwin\setup.exeを実行する。 必要に応じた設定をしつつ、どんどん先へ進む。と、
Select Packageという所へやってくる。ここで、
All Defaultになっている設定を
All Installにするために Defaultの部分を一度だけクリックする。
で、しばーーーーーらく待つ。 もし、Cygwinをインストールしたことがあるのならば、 さして時間はかからないが、インストールしたことがない場合、かなり時間がかかる。 が、待つ。我慢して待つ。 失敗したらもう一度 setup.exeを動かして、また待つ。

デフォルトではCygwinはC:\Cygwin\に導入される。 ここに導入されることを前提にする。


さてCygwinをインストールした段階でTeTeXがインストールされているが、 これは日本語に全く対応していません。 また、ghostscript もちゃんと日本語が処理できていません。

そこで、追加のパッケージをインストールします。

具体的には http://www.misojiro.t.u-tokyo.ac.jp/~kuroky/tex/ にある通り…では情報が無さ過ぎるので少しだけ書くと。

cygwin の setup.exe で、 サーバを選ぶところで
http://www.misojiro.t.u-tokyo.ac.jp/~kuroky/build
を add し、ここから ptetex パッケージを選ぶだけだ。

このままだと ghostscript 7 シリーズを再インストールしてしまう。 しかし、cygwin update の際に ghostscript 8 シリーズに バージョンアップしてしまうと、 dvipdfm が動かなくなる。フォントが見つけられなくなるのだ。

面倒を回避するならば、 ここは ghostscript 7 シリーズのまま放置するのが正しいだろう。


ここから先は古い情報

そこで
http://www.mars.dti.ne.jp/~sohda/cygwin/tex.html にあるように設定を変更し、追加のパッケージをインストールしていきます。

まず、Ghostscript を日本語に対応さます。

まず ftp://ftp.gyve.org/pub/gs-cjk/ http://www.t.ring.gr.jp/pub/text/TeX/ptex-win32/gs/ から
adobe-cmaps-200211.tar.gz
acro5-cmaps-2001.tar.gz
の2ファイルをダウンロードします。

次に、Administrator権限で、 Cygwin シェルを起動して次のコマンドを実行します。

# cd /usr/share/ghostscript/fonts
# ln -s $SYSTEMROOT/Fonts/msmincho.ttc .
# ln -s $SYSTEMROOT/Fonts/msgothic.ttc .
# mkdir -p /usr/share/ghostscript/Resource
# cd /usr/share/ghostscript/Resource
# tar xvzf acro5-cmaps-2001.tar.gz
# tar xvzf adobe-cmaps-200211.tar.gz
# cd /
# ln -s /usr/share/ghostscript/Resource .

http://www.mars.dti.ne.jp/~sohda/cygwin/tex.html にはこの後、 /usr/share/ghostscript/7.05/lib/CIDFnmap に変更を加えろ、とあるが、これはする必要はない。 少なくとも、pdfファイルを作るだけならば。


さて、次は tetex をインストールする。

http://www.mars.dti.ne.jp/~sohda/cygwin/tex.html#tetex にあるように作業を進めます。

乱暴に言うと上記ページの ここ とある場所へ移動する(一応アドレスをコピーしましたが、 更新している可能性があるので、なるべくオリジナルのページから飛んでください)。

このページには
tetex-2.0.2-ptex-3.1.2-1.tar.bz2
tetex-2.0.2-ptex-3.1.2-docs-1.tar.bz2 という2つのファイルが置いてあります。 このファイルを持ってきます。
tetex-2.0.2-cygwin.patchというファイルは 持ってきてもいいですが今回は使いません。

さて、再びAdministrator権限で次の命令を実行します。

 # tar jxf tetex-2.0.2-ptex-3.1.2-1.tar.bz2 -C /
 # tetex-2.0.2-ptex-3.1.2-1.tar.bz2

結果/usr/local/texの下に必要なものが全部展開されます。

どうにかして/usr/local/tex/binを実行パスに追加します。
大抵の場合、
Start
設定
コントロールパネル
システム
詳細設定
環境変数
システム環境変数
で、Pathの先頭に C:\cygwin\usr\local\tex\bin; を追加する。

ついでにCygwin環境を優遇するために
C:\cygwin\bin;
C:\cygwin\usr\bin;
C:\X11R6\bin;
も追加するとよい。


さて、ここまでの作業はAdministratorでやるのが普通だが、 ここからは普段のユーザーとして作業する。 例としてokuyamaでやる場合を考える。

画面にショートカットを一つ用意する。

C:\cygwin\cygwin.bat に対するショートカットで、アイコンは %SystemDrive%\cygwin\cygwin.ico に設定するとよい。

あとはこのアイコンをダブルクリックして出てきたシェル画面を 使って latexなどのコマンドを利用する。


こうしてインストールされた LaTeXTeXの環境は Sift JIS で書かれた TeX ファイルを処理することができます。
.dviファイルは dvipdfm -o <出力pdfファイル> <dviファイル>
.pdfファイルになります。

.pdfファイルは http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.html からダウンロードするAdobe Readerで参照してください。


Changelog

2006/06/07
http://www.misojiro.t.u-tokyo.ac.jp/~kuroky/tex/ に cygwin の setup.exe を使い、あとはひたすら待つだけ、 という素晴らしいやり方が提供されていることを発見。 ありがたく、こちらの方法に差し替えさせていただいた。
2004/08/16
http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/rhl/dvipdfmx.html が http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/fc/dvipdfmx.html へと、
http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/rhl/dvipdfmx-20031207-0.nosrc.rpm が http://my.reset.jp/~t-matsuu/install-memo/fc/dvipdfmx-20040411-0.nosrc.rpm へと、
それぞれ変更した、と松浦さんから教えてもらったので、対応した。